高卒求人ニュース7月 ~今年度の就職環境は?~
今年度の就職環境は一層厳しいのか?
企業は「厳選傾向」。内定は「二極化」。対応策は?
厚生労働省が、5月21日にこの春に卒業した
高校新卒者の就職内定状況(3月末日時点)を発表した。
それによると、高校新卒者の就職内定率は93・9%となり、
前年同期を1.7ポイント下回り、
内定率としては過去7番目に低い水準となった。
(上の文の続き)ただ、就職氷河期と言われる平成14年~平成15年に80%台ということもあった中で、
昨年度の94%近くの数字を見ると、この経済危機と厳しい雇用環境を肌で感じながらも多少「安堵」してしまう。
(それぞれ下図参照)しかし、内定率では見えない高校生の就職をめぐる厳しい実態が隠されていて、
おそらく今年度もその実情は変わらないだろう。
昨年の9 月末日に37・6%だった内定率を今年3月末日で94%に押し上げたその理由が裏側にいくつかある。
一つは、学校関係者と行政関係者の必死の努力があったことだ。
それは、就職状況がかつてなく厳しいということに真剣に向き合い、企業訪問や生徒の指導に
学校全体をあげての必死の努力をすすめたこと。
さらに、いろいろな見解はあったにせよ、全国の自治体では様々な就職支援活動が展開された
ことで、全国で3000名以上の雇用枠が設定されたことだ。
二つ目は、就職を希望する生徒が、途中で「就職以外の進路」へ進路変更をしていることだ。
昨年の7月末での就職希望者は19万986人だったのに対し、
3月末時点での就職希望者が15万3227人で、
3万7759人(7月末求職者の約20%)もの生徒が進路変更したことになる。
内定者が増加しなくとも、求職者が減少すれば、内定率だけは上がってしまうという隠された実態がある。
それでは、昨年はそのような状況だったことを踏まえ、今年はどうなるのだろうか?
6月に5月までの大学生の内定状況が各報道で公開されているが、
その状況を見ると前年同期を下回っている。景気は上向き傾向だが、求人数もそれほど増えていない。
にも関わらず、企業はより厳選傾向になってきている。
内定を取れる学生と取れない学生の二極化傾向も強まっている。
大学生の状況がそのような状況で、企業の高校生の採用感覚だけが大きく違うとは考えにくい。
それらを題材に考えると、おそらく9月末時点での高校卒業者の内定は
昨年の37・6%を上回ることはなさそうだ。
なぜなら、大学生も昨年の教訓から学び必死の努力をしていることも、
自治体や国においての大学生への支援も高校生に対してのそれと同等だからだ。
求人数が少なく、企業が厳選採用しているという現実を曲げることはできない。
やること、できることは、昨年と変わることはない。何か特別な方法はないのは確かなのである。
運が悪い、企業が悪い、生徒が悪い、保護者が悪い、学校が悪い、行政が悪いと言っていても仕方がない。
まずは昨年以上に厳しくなるかもしれないと思い、
最大の準備を生徒のみならず、学校や保護者の方も行う必要がある。
学校は企業訪問を行い、企業は大企業や中小企業を問わず、
一人でも多くの求人を高校卒業者に出せるように、行政はより有効で、より良い支援策を
早急に打ち出す準備をするしかない。
それぞれが、その努力をどれだけ最大の力で、真剣に行うかが今年の就職事情に大きく影響するだろう。
また、高校の進路指導の先生方の苦労や負担がさらに多くなるとは思うのだが、
生徒やその保護者の方は、進路変更も視野にいれておくことは決して選択として間違っていない。
ただ、突然の進路変更は保護者の方にも、生徒本人にも負担だ。
ケース毎のある程度の進路計画を、本人・保護者・先生で協力し、共通認識を早めに持っておきたい。