■高卒求人、6年ぶり高水準=来春卒は1.28倍 (厚労省)

■高卒求人、6年ぶり高水準=来春卒は1.28倍 (厚労省)

掲載開始日: 2014-09-13

 厚生労働省は12日、2015年3月卒業予定の高校生の求人倍率は7月末時点で1.28倍と、前年同期と比べ0.35ポイント改善したと発表した。1倍を超えたのはリーマン・ショックで雇用情勢が悪化する前の09年3月卒(1.31倍)以来で、6年ぶりの高水準だ。学校には企業の採用担当者がひっきりなしに訪れるが、希望した職種に就けない「ミスマッチ」など解決すべき課題も残されている。

 3年生の6割が就職を希望する埼玉県立浦和商業高校(さいたま市)。企業の学校訪問が解禁された今年7月以降、多い日には10社の採用担当者が求人の説明のために同校を訪れる。

 8月末までに寄せられた求人票は620件に上り、昨年の2倍超。町田徹教頭は「初めて求人を寄せてくれた企業も多い。景気回復の追い風を受け、生徒の就職先の選択肢が広がっている」と手応えを語る。

 東京都立第四商業高校(練馬区)の大林誠校長は「リーマン・ショック以降、縁遠くなっていた会社の採用担当者が今年は説明のために来校した」。各社から届く求人票の数は昨年の1.5倍に増えたという。

 人材を確保するため、企業側の競争も過熱している。中小約2万社が加盟する全国建設業協会(東京)の担当者は「人材を確保する厳しさは増している」と切迫した様子で話す。

 建設業界は東日本大震災の復興関連事業で人手不足が続いているうえ、東京五輪・パラリンピックなどを見据え採用を増やす企業も多い。「各地で開く高校生向けのセミナーで魅力的な職場ということを地道に伝えたい」

 厚労省によると、10年3月に高校を卒業し就職した人の3年後の離職率は39%で、大卒者(31%)より高い。国立教育政策研究所によると、職場での人間関係や仕事のきつさを離職理由とする人が多いという。就職先の環境や仕事内容が、就職前の印象と異なるといった点も原因の一つとみられている。

 東洋大の小島貴子准教授(職業指導論)は「求人倍率だけで就職状況が改善されたとみることはできないうえ、求人が増えても高校生が就きたい仕事とは限らない」と指摘。「雇用のミスマッチをなくすためには、高校時代に十分な職業観を身につけるなど、多様な取り組みが必要だ」と指摘している。

日本経済新聞より

リンク: http://www.nikkei.com/article/DGXLZO77044310T10C14A9CC1000/

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